連続美術講座 画家たちの荻窪
(美術講座は全て終了しました)
講座について
「NPO法人すぎなみ学びの楽園すぎなみ文化事業部」は地域の歴史と文化の掘り起こしと普及活動を行っています。
当会は2014年11月から2015年3月まで、杉並区立郷土博物館分館(天沼弁天池公園内)において区民参加型展示「荻窪の昭和」を行いました。この展示の中に「荻窪に住んだ画家、画家の描いた荻窪」コーナーを置いたところ、多くの方が足を止めて見入り大変好評を博しました。そこでこの「荻窪と画家」というテーマをより深めるためにこの連続美術講座を企画しました。
調べてみると荻窪近くに住んでいた画家がずいぶん多いことに気がつきます。今回取り上げられなかった画家も多く、また範囲を少し広げて阿佐ヶ谷、井荻、松庵あたりまで含めるとその数はさらに増えます。移り住んだ時期は大正末から昭和初期ですが、戦後移り住んだ画家も少なくありません。なぜこれほど多くの画家が住んだのか、理由はよく分かりません。
さらに驚くのは、画家たちの手で荻窪の風物が数多く描かれていることです。例えば児島善三郎はその「荻窪時代」に、井草川を望む丘の上からの風景を何枚も何枚も描いています。小茂田青樹は『青樹画册』の序で「私の画室から生まれた作が私の朝夕親しみつつある西郊武蔵野の景物四季の興に多くその作画の因を作している」とその作画の動機を述べて、画室近くから眺められる風景を素材とした作品をいくつも描いています。これらの作品は芸術作品であると同時に当時の荻窪を忍ばせる貴重な記憶遺産でもあります。これらの作品を集めれば『描かれた荻窪』と題した小さな展覧会が開けそうです。
今回の講座では12名の画家(洋画、日本画、版画)を取り上げ、各画家に関しての専門家をお呼びして、その生涯、荻窪との関わり、荻窪を題材とした作品などについて学びます。
受講生の感想(2016年4月〜7月)
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毎回とてもすばらしい内容です。よくもこれだけの講師を集められたのかと驚いています。これからも楽しみにしています。
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これまで知らなかった画家たちのエピソードを知ることが出来た。こういう連続講座は区民に取って大きな刺激になった。願わくは、もう少し荻窪という土地との関連性、画家、文士たちとの交流にふれて欲しかった。
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身近に住んでいる画家の住まいを行き帰りしていますが、ご本人のことはあまり知らず通っていました。これでますますいろんなことを感じながら前を通りたいと思います。毎日、別の楽しみが増えたことがよかったと思いました。
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田中青坪、恩地孝四郎の住んだお宅は毎日の買い物へ行く通り道、親しみを持ちつつおりました。この度いろいろ説明を聞き作品に接して大変興味が増し、荻窪を誇りに思います。この講座に参加出来て本当によかったです。
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月1回の非日常の芸術を学ぶ時間を持つことが出来て幸せであった。荻窪の身近な芸術家の作品の数々を鑑賞出来たことも幸せでした。児島善三郎の風景画のファンになりました。いただいたカレンダーに掲載している絵画を部屋に飾っております。
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作品を解説を聞きながら鑑賞出来るのでとても分かりやすいです。すばらしい講師の先生方の話が聞けるのがとても楽しみです。荻窪にたくさんの文化人が住んでいたということは区民の大きな財産であると思います。
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改めて荻窪にはすばらしい画家ぞろいだったということに驚いています。
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漠然と知っていたが、専門的な立場の方の解説は具体的でリアリティに満ち大変参考になり、大きな知識を与えられた。この企画に感謝大です。
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荻窪にこんな方々がいらっしゃったことは初めて知りました。本日の恩地さんのお話もこんなに新しいことをなさってと驚きです。
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荻窪に転居してきたばかりです。当地を深く知りたくて受講しました。絵画にも興味がありました。実際受講してみると毎回内容がとても充実していて感動しています。帰宅後、ネットでいろいろ調べたり、さらに本を読んだりしています。人生の楽しみが増えました。
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近代美術館の恩地孝四郎展のキュレーターという最も適切な講師の話で、聞き応えがあった。たった一枚だけの版画。その裏にある描くことと、刷ることの違い。なぜ恩地は版画にこだわったのか自ずと考えさせられた。なぜ荻窪に住んだのかなど、荻窪との接点についても知りたかった。
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田中青坪…作家の存在すら知らなかったので、柔らかい色遣いに驚きを覚えました。浅間高原の絵に心を奪われた。知ったのが遅く、回顧展を見れなかったのは残念でした。恩地孝四郎…抽象画は理解出来ませんでしたが、日本画のような版画は素敵でした。松本先生の詳細なお話により、理解が深まりました。せっかく荻窪にはかかる画家たちがたくさんいらっしゃるのに、文学も含め常設のギャラリーがあるといいなと思いました。
受講生の感想(2016年8月〜11月)
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絵に興味がありますので、大変面白く楽しく拝聴しておりました。ぜひ文士の方なども、又、テーマを変えてもこのような講座を続けて下さいませ。
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できるだけ作品が見たいです。年代と作品とエピソード、裏話など、人間としての姿を語って欲しいです。今回は作品が少なかったと思います。
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いつもお世話になりましてありがとうございます。毎回楽しみに参加しております。8月棟方志功のお話をしてくださった石井氏は講演になれていらっしゃるのか、大変わかりやすく聞くことができました。行ってきたばかりという青森の事や、生家の見取り図など、聞いていて想像が膨らみました。9月の田河水泡は、山根氏中心の話になりすぎたような気がしました。もう少し田河について話して欲しかった気もしました。山根さんご自身についての事は大変興味深く聞きました。10月長谷川潾二郎ご長男のお話も興味深く聞きました。お身内の方のお話を聞いているというだけですっかり感動してしまいました。11月、やはり学芸員の方のお話はまとめられていてわかり易いと思いました。以上、素人の感想で恐縮です。これからもよろしくお願いします。
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毎回、お話が楽しく、画家の人となりがよくわかります。特に長谷川氏は2010年に平塚で見てからファンになったので、とても興味深く聞きました。
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一連の講義を通して貧困も戦争の不幸もありながら生き生きと活動した当時の作家達の姿が見えてきます。日本そのものが若かった。8月の「棟方志功」は講師が学芸員の目を持ちながら身近な家族の立場で棟方氏を語られて興味深く聞きました。昔、TVで版木の上を這う作家の姿を見て気難しい職人気質を想像していたのでモダンで社交的な生活スタイルは意外でした。柳氏の民芸館に行ってみました。本を読んだだけでは得られない興味を誘発させてくれる講座だと思います。
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画家に対して立場が違う講師で、どの回も特徴、個性が出て面白かった。「棟方志功」展覧会やテレビで知っているので親しみを感じます。家にある唯一の版画は志功さんの作品でなおさらです。「田河水泡」同業のお弟子さんの話はご自分の事に重心がありましたが、これは又漫画にできそうですね。のらくろしか知らないので機会があったら漫画を見たいです。「長谷川りん二郎」お話で昔の荻窪の風景や様子が浮かんできました。いろいろな事をした、出来たとの事、興味深いです。「津田青楓」もっと多く作品を映して欲しかったです。それで笛吹市の美術館へ行きたくなりました。
受講生の感想(2016年12月〜2017年3月および1年間)
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あまりよく知らなかった、しかも荻窪にゆかりのある画家たちについて、大変興味深くお話ししていただきました。よい絵をたくさん教えていただき楽しかったです。ありがとうございました。鈴木信太郎の、みどり、大好きでした。
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非常に興味深い講座で、続きがあればぜひ聴かせて頂きたいです。棟方志功のお話が特に印象に残りました。2月、3月共面白い話を有り難う存じました。
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12月から今月3月まで紹介のあった画家で、前田寛治だけがぼんやり名前だけ知っていました。ただどんな絵・画風かは全く記憶になかったのですが、最後の「海」と「赤い帽子」が同じ画家の作品とは信じられないほどで、丁寧で詳しい講義で画家のことがよくわかりました。また「こけし屋」の包装紙が鈴木信太郎で、しかも私個人の好みの絵ばかりでしたので、本当に講座に参加してよかったと思いました。ありがとうございます。
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とても楽しく聴講出来ました。最初から聴講出来ず申し込みが遅れたり、その後もやむなくお休みした折も残念に思いました。次回は現代の画家たち、江戸時代幕府に仕えた日本画家(絵師)たち、などを取り上げていただきたいと希望いたします。
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1年間、面白いお話をありがとうございました。いろいろなエピソードが聞けて楽しかったです。美術の関係は本当によく知らないのですが、荻窪に関係する人がこんなに沢山いるとは驚きです。
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大変よい企画ありがとうございました。棟方志功の回が印象に強く残っています。いろいろ参考になることが多かったです。4月からの企画にも参加させていただきます。
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この講座がきっかけになり、予習と復習(websiteの要旨を含め)をして、自分で画家と荻窪を学ぶことが出来ました。新倉さんを始め、スタッフの皆様に感謝します。前川千帆の回で、新倉さんがロスオリンピックと恩地・神津との関わりをコメントされた時、荻窪という地図の中でもつながった感じを受けました。どうもありがとうございます。
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「画家たちの荻窪」大変楽しく参加させていただきました。各画家たちの絵と説明される解説者のお話の中に大変おもしろい話が詰まっていました。大正、昭和初期の絵についても勉強になり良かったです。今後も新しい企画でお願いいたします。
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荻窪にこんなに沢山の画家が住まわれていたとは驚きでした。各々の画家についての詳しい学芸員、お身内等をお探しになられるのもさぞ大変なことであったろうと感謝いたします。講座で知った画家の画を見かけたりしますと、あっあの時教えていただいたとより身近に感じます。新聞や雑誌等でロスアンゼルスの美術のオリンピックの事等ふと目にしますと神津さんのお話を思い出しますし、前田寛治さんの画の労働者の画は福本和夫さんの影響かとか今まで知らなかった事を深く知りました。本当に有り難かったです。
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原田光氏による「前田寛治」について、型通りの講義では無く作品解説と平行して画家の交友にに見る時代背景もよく伝わってきました。講師の飄々とした語り口の中にも画家の本質を見据えたものがあります。1年間、良質の講座を企画していただき有り難うございました。
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前川千帆の作品は「杉並区立郷土博物館 分館」で開催された「文士と画家たちの荻窪展」に展示してあった図録ではじめて知りました。前川千帆についてはなかなか情報が得られなかったので、貴重な講座でした。作品はもちろん、添えられた温泉のコメントにも興味を持ったので、講座の後、「版画浴泉譜」の古本を手に入れ、楽しんでいます。最終回は前田寛治でした。前田寛治の友人と宮沢賢治の話もおもしろく、また、佐伯祐三や萬鉄五郎など昔好きで展覧会を観に歩いた事など思い出したりして、最終回にふさわしいとてもワクワクした講座でした。一年間、毎回毎回有意義で楽しい講座をありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
